プリンセスストロベリーの憂鬱

「事実だし。先生、一人で冷やすから向こうに行っても大丈夫ですよ」

夏恵の左手は確かに傷だらけだった。

だからと言って、女の子が怪我をして良い理由にはならない。


「何があった?」

「大崎さん?彼女が虫ごときで騒いで、振り回したおたまが、鍋に当たって、しゃがんでた中村さんにかかりそうになったの」

「それを庇ったのか」


大崎は夏恵に嫌がらせをしている女子の筆頭みたいな生徒だ。

親がPTAやら会社の役員やらをやっているらしく、学校側としたら彼女絡みの騒ぎは起こしたくない、そう言う生徒の一人だ。