プリンセスストロベリーの憂鬱

中村汐花(なかむらしおか)は泣きじゃくっていた。

「鷹司はお湯はかからなかったか?」

「かかりましたよ」

夏恵は左手を上げて見せた。

左手から手首の少し上の所までお湯でジャージが濡れている。

素手の部分は真っ赤になっていた。


「何を呑気に立ってんだ!冷やせ」


急いで夏恵の手を水で冷やした。

「ジャージが濡れちゃう」

「皮膚が取れるかもしれないから我慢しろ」


「先生、目が怖いです」

「お前のその慣れてるみたいな態度が気に食わん」