「安心しろ、俺が千色を守る
心配なことも不安な思いも全部
俺に言え、俺が取っ払ってやる」


永遠の低くて甘い声に
もしかしたら本当に・・・って期待をしてしまいそうになる

でも・・・16歳よ?六つも下よ?
森谷のことも許婚のことも、千紗のことも
組を揺るがす一大事

生まれながらの宿命を
永遠に何とか出来るはずなんてない


「噛むな、傷がつく」


唇に触れる永遠の指に
知らず知らずのうちに唇を噛んでいる自分にため息


「ほら」


私を捉えていた腕が離れ
ソファに座り直すと

永遠は違うソファに座った


・・・なんで?


自分から距離を置こうとした癖に
攻めてきていた永遠が離れただけで

もう一度胸が苦しくなった


だからって
そばにいて・・・なんて言えない



矛盾だらけの自分に喝を入れるように立ち上がった


「どうした」


「午後からの準備しなきゃ」


「・・・そうか」


少し遅れた永遠の返事に被せるように


「永遠は学生だから、サボって此処に居ると大人の私が未成年の永遠を唆したことになる
それに私は先生だから、サボって此処に居ると咎められて働けなくなる
どちらにしても此処に居るのは二人の為にならない
だから・・・もう此処へは来ない
永遠もよく考えて
子供みたいに気持ちを打つけられても答えられないから」


冷静を装い言い放つと
永遠に背を向けた


「言いたいことはそれだけか」


「うん」


ゆっくり息を吐き出すと
ドアを開いた