「ちょ、はな・・・んんっ」


離してと言う口は
首を傾けた永遠の唇に塞がれた

小さく啄んでいたかと思えば
油断した隙を狙うように
熱い舌に翻弄される

粘膜をなぞるように蠢くそれは
両脚から力を奪った


「・・・っ」


ストンと落ちたのはソファの上で
ギシッと響く心地良い革の音が
私の両脇に手を付いた永遠との距離を縮めるようで

頬に熱が集まってくる


「千色」


「・・・っ」


間近で視線を合わせる永遠の目は
真っ直ぐこちらを捉えていて

その眼力の強さに背筋に汗が流れるような気がする


「会いたかった」


心臓を鷲掴みにされたように苦しくて
目を逸らしそうになる

それを阻止するように
顎を掴んだ永遠は


「拒むな」


一瞬懇願するような目を向けた


昨日も会ったし学校へ居る限り
登校していれば毎日だって会うのに

“会いたかった”と熱い目を向けてくる

それが嫌じゃないことは

苦しい程強く打つ鼓動が証明している


でも・・・
私には拒まなければならない理由がある


「どうした」


「ん?」


「何を考えてる」


私の表情の変化に気づく永遠に
本当のことなんて言えない


「離れて・・・欲しい」


ポツリと溢した声は酷く震えていて
自分自身の気持ちの変化に戸惑う


「そうかよ」


同じように顔を歪めた永遠を見て
さっきとは違う早さで胸が苦しい


頑張って距離を持ち続けていけば
永遠もそのうち諦めてくれるんじゃないか・・・

そんな淡い期待は


「学校に居る時は色々我慢する」


「・・・へ?」


「此処へ連れ込んだことを
怒ってんだろ?」


えーーっと違いますが?