「では、よろしくお願いします」


保健室から中庭に出られる入り口前に
如何にもの高級車が止められ

中からスーツ姿の男性が出てきた

同然のように内田さんを抱き上げた堂本君は

何処ぞの王子様のように
颯爽と帰って行った


「・・・フゥ」


なんか台風みたいだった


また静寂が訪れた保健室で
デスクに戻ると橘院長へ電話をかけて事情説明をして

【保健室利用】
を記入する


・・・それにしても


堂本亜樹、堂本琴、木村永遠、郡大和
それから堂本琴さんの友達で
そのうち堂本君の彼女になる?内田優羽

えっと・・・

関わってはいけない全員に会ってしまったかも・・・


「ま、不可抗力・・・よね?」


「何がですか?」


「ヒッ」


突然聞こえた声に驚いて振り返ると
小崎先生がだらしない笑顔を向けていた


「お帰りなさい」


「ただいま〜、これ二回目ね」


「え?あ、すみません
考えごとしてました」


「ん?悩み?」


「あ、いえ・・・あの・・・」


とりあえずの台風の様なひと時の説明をすると


「あ〜、怖かった?」


「えっと」


内田さんの様子じゃなくてそれ?
少し呆れた顔を向けた私に気づいたのか
頭をポリポリと掻くと
向かいのデスクへと座った


「あの子達は滅多に此処へは来ないからね」


「そうなんですか」


「実はもう一つ保健室があって」


「へ?」


「あ〜、言ってなかったね」


そう呟いた小崎先生は
去年一ノ組の若頭が堂本さんの為に
空き教室を第二保健室に作り替えたことを話してくれた