「あぁ、悪りぃ」


肩を揺らした私を見て謝ってくれるあたり
本来は優しい子なんだろうと思う


「じゃあ、堂本君椅子出して
内田さん看ててくれる?
私、橘先生に電話してくるから」


「あぁ」


ベッド横に丸椅子を運んで座る姿を見ながらデスクに戻ると橘先生へと電話をかけた








(連れておいで)

校医である橘病院の院長へ電話すると
その一言だけで終わった


「堂本君、橘先生が連れておいでって
これから車手配するけど・・・」


堂本君はどうする?って続けようとした私の言葉を遮るように


「俺が運ぶ」


そう言うと何処かへ電話をかけ始めた


「俺だ、学校まで車頼む」


一言で終わった電話に


「内田さんのご両親へ電話するわね」


「必要ねぇ、俺が全部やっとく」


「・・・・・・」


任せても良いのだろうか?
判断出来ない状況なのに


「俺の女だ、俺が面倒みる」


出ましたー。俺様発言
顔が歪みそうになるのを堪えていると


「誰が、俺の、女よっ、馬鹿」


美少女戦士か天使かと思っていた
内田さんの口から

キツイ一発が飛び出した


「っ」


今度はウッカリ吹き出しそうになるのを堪えていると


「優羽、もう諦めろ
お前は俺の女だ」


どこかで聞いたことあるようなフレーズが聞こえてきた


「諦め、ない、けど・・・
今は・・・・・・よろしく、亜樹」


悔しそうに色っぽい潤んだ瞳を
堂本君へ向けた内田さんは

諦めたように薄く笑った


「いつも可愛いこと言えよ」


蕩けるように笑うと
そっと頬に口付けた


クーーーーーーーーーッッ

高校生のラブシーンを見ただけで
鼻血が出そうなんですけどもっ


オロオロする私の後方で
もう一度スライドドアが開いた