side 永遠


千色が帰った翌日
やっと繋がった携帯から聞こえたのは

拒絶とも取れる千色の声だった


(ごめんね?私も仕事の準備とかあるし
時間が取れないことが多いの)


仕事って言えば
学生の俺が引き下がるとでも?


やっと見つけたのに
俺から逃れるだと?
んなことさせる訳ねぇだろ


クツクツ喉の奥で笑うと
顎の下に手を置いて作戦を練った


・・・なぁ千色
長い人生の中で今だけ時間をやる

GWが終わるまで後数日


「精々、油断してろ」


俺をガキ扱いしたことを
キッチリ後悔させてやる


猟奇的な想いを
GW明けまで封印することにした







しかし・・・
何が悲しくてGWに大和と倉庫に篭ってるんだか


「永遠〜」


「あ゛?」


大和から見せられた携帯には


【俺ん家集合】


亜樹からの短いメッセージが表示されていた


「またかよ」


思わず溢してしまう程
最近招待の頻度が上がっている


「緒方さんに探りも入れられる」


大和は情報の為に行く気満々だから
俺だけが渋っている風じゃねぇか

交流として一ノ組からの誘いは断れねぇ

それに

招待されることが名誉だから
俺らは他を出し抜けられる


「モールでケーキ買ってくか」


お土産を探す大和に頷くと

一階に降りてバイクに跨がる

大和が面子に指示を出している間に
携帯を取り出すと

何の通知もない画面にため息を一つ吐いて

倉庫を後にした



□□□



この後モールで千色を見かけて
不機嫌マックスで本家へ乗り込み

琴ちゃんに“大丈夫?”と顔を覗き込まれて

居た堪れなくなる


何故かって?
純粋に心配だけをしてくれている琴ちゃんの行動も

若頭にとっちゃ他の男の心配をしていると取れる訳で

一瞬だけ放たれた殺気に
琴ちゃんと優羽以外
固まってしまった






side out