静かな廊下を歩いていると


グイッと腕を引かれた


「キャッ」


スーッと
スライドドアの閉まる音が響いた瞬間

大きな影が私を囲い込み
背中がドンと壁に着いた


「ダレッ?」


カーテンが閉められた教室は真っ暗
明るい廊下から連れ込まれた所為で
目が使い物にならない

最早恐怖しかない私の耳に聞こえたのは


「千色」


永遠の声だった


「っ!」


驚いて影を見上げるけれど
未だシルエットまで朧げ

それよりなにより

バレたの?

嘘・・・変装中よ?

どう逃げれば良いか思い付くはずもなくて


「どうしましたか?」


知らない振りをしてみた


「へぇ、そんな態度なのか?」


「え?」


「俺が誰か思い出させてやる」


永遠の挑発的な声が聞こえた瞬間
顎がクイッと持ち上がり


「ちょ、や・・・んっ」


唇を塞がれた


「ん・・・んっ」


永遠の胸を押して逃れようとするけれど
私の力ではびくともしなくて


逆にその手を片手で掴まれ頭の上で押さえられた


ちょ!ちょっと!!待って!!

慌てて逃げようとして


「ちょ・・・んんっっ」


口を開いた僅かな隙間に
永遠の舌が滑り込んできた


「んっ・・・・・・んん」

や・・・なに?これ

初めての深いキスに
頭の中がパニックに陥る

苦しいっっ

酸素を求めて口を開くと
更に深く永遠の熱い舌が挿しこまれた


「・・・んっ」


ダメっ

思いと裏腹に鼻から抜けるのは
甘い吐息ばかりで

押さえた腕と頬に添えられた永遠の手に

動けないまま翻弄され続けた