酷く頭が混乱していた・・・


Moonでファーストキスを奪った失礼野郎が永遠で

でもサラリーマンに連れて行かれそうになった泥酔女を助けて介抱してくれたのも永遠で

でも永遠は六つも下の高校生で

その高校は私の勤める東白学園


「・・・い、・・・千色」


肩を揺さぶられてハッとする


「・・・ん?」


「ん?じゃねぇぞ、何回も呼んだのに
なにブツブツ言ってんだ?」


覗き込まれた永遠の顔と焦点が合った


「え?コンタクト入れた?」


「は?さっき入れただろ」


え?コンタクト入れたかどうかの記憶がない

それより


「着替えてる!!」


ワンピースを着てカーディガンを羽織った自分に更に驚く


「千色、頭大丈夫か?」


少々呆れ声の永遠は見ない振りをした

てかどこで着替えた?永遠も此処に居た?
もう声にするには恐ろし過ぎて
考えないことにしよう

どれだけ脳内お喋りに夢中だったんだか


「そろそろ送ってくから携帯出せ」


「あー」


バッグの中を覗き込むと
スッカリ忘れていた携帯を取り出した


「あ」


「どうした」


「充電がない」


「クッ、珍しいな
女なのに携帯のこと忘れるなんて」


そう言って笑った永遠に
胸の辺りが騒ついた

ん・・・?なんだろう

他の女の子と比べられたから?

それとも
比べられた“誰か”が気になる?

ん・・・分からない感覚を無視して
永遠に視線を合わせると


「番号言え」


「・・・えっと」


「なんかあった時な」

“助けてやるから”って
言ってくれている気がして


「・・・・・・うん」


本当はダメなのに
よくよく考えるとダメなのに
頷いてしまった