男性が水を持って来てくれるまでに
せめてベッドに腰掛けてようと思ったのに

起きられない程の頭痛に
ギリで良いかと簡単にそれを諦めた

程なくして戻ってくると


「ほら」


冷たいペットボトルをキャップを少し緩めて持たせてくれた


「ありがとう」


「あぁ」


気合を入れて横向きになると
ゆっくり身体を起こした


「辛れぇか?」


「・・・ちょっと」


「どんだけ飲んだんだ」


「・・・覚えてないくらい?」


「クッ、面白れぇ女」


「・・・」


冷たいミネラルウォーターを喉に流し込むと
乾いた身体が潤う気がした


「んで?」


「ん?」


こちらを覗き込む男性に視線を合わせると


「目、痛てぇ?」


パチパチと長い睫毛が動いた


「あ、コンタクト入れたままで
そろそろ限界かもしれません」


目が痛くて瞬きが多くなっているのに気付いてくれたんだと思うだけで
初対面なのに良い人だと思える


「そっか」


「えっと」


バッグの中に予備があったっけ?

てか・・・バッグ?


「あのっ、イタっ、私のバッグ」


急に大きな声を出したから
頭に痛みが走った

・・・イタタ

こめかみに人差し指を当てて
おまじないをかけるように押さえた


「クッ、ほらこれ」


そう言って手渡されたのは私のバッグで


「ありがとう、ございます」


中に手を入れてポーチを取り出すと
予備のコンタクトを見つけた


ショボショボの目からコンタクトを外して目薬をさす

メガネがないから
見えないけれど暫くは裸眼のまま休ませたい


「あの・・・どこのどなたか存じませんが
大変お世話になりました」


なるべく頭を動かさないように
丁寧にお礼を言うと小さく頭を下げた