「シッ」


先に降りた大和が出迎えを一瞬で黙らせる

既に夢の中の女を抱き上げたまま玄関まで歩けば

組員達が息を飲む音が聞こえた



・・・ウゼェ



三ノ組の後継ぎである理由以外で

姉貴二人の存在がウザすぎて
これまで特定を作らずきた俺が
イキナリ女を抱き上げて帰って来たんだ

そりゃ驚く・・・か


玄関の引き戸が開けられると
大和が一番に靴を脱いだ

・・・大丈夫、気付かれてねぇ


そう安堵した瞬間


「お、かえり?」


すぐ上の姉貴、遥華《はるか》が飛び出してきた


「チッ」


「・・・永遠?」


「邪魔だ、退け」


「・・・誰?」


女を覗き込もうとする遥華を


「後で説明を・・・。」


やんわりと躱してくれた大和は

ついでのように俺の抱く女のヒールを脱がせた


「・・・チッ」


「・・・はい、妬かない」


俺にしか聞こえない囁きに
腹が立ったけれど
大和を睨むことでやり過ごしながら

部屋までの長い廊下を
早足で歩いた


「遥華、アンテナ高くない?」


「ウゼェ」


「なんて説明する?」


「・・・」


「やっぱ、誘拐じゃね?」


「大和、もう良いぞ?帰れ」


「えーー、やだ!」


「お前と分け合う趣味はねぇ」


「そんなの俺もないさ」


「じゃあ帰れ」


「えーー」


暫く続いたやり取りも


「明日朝イチで来るから」


渋々腰を上げた大和が
部屋を出たことでお開きになった


「さて」


スヤスヤと眠る女をベッドに下ろすと
密着するように隣に寝転がった





side out