「アレは適当に説明しとく」


芝生の上で未だ呆然としている
川島さんを“アレ”扱いした堂本君に促されて

お庭から私の部屋まで永遠と一緒に戻った

久しぶりの二人きりの空間に
散々オアズケを食らった犬みたいに
永遠の腕の中にベッタリと張り付いていた




「千色」


「ん?」


「そろそろ離れてくれねぇと
マジやべぇ」


「・・・・・・・・・へ?」


永遠の言葉の意味が頭の中でなんとなく繋がって一気に現実へと引き戻された


ゆっくり腕の中を抜け出して
ベッドの端へと腰掛ける


「んな顔すんな」


・・・と言われても
どんな顔してるんだろう?私


そんなことを考えながらも
誰に遠慮することなく永遠の視線を独り占めできることに

いつもより浮かれていた

そんな私に


「ごめんな」


永遠は何度も何度も謝ってくる


「ううん、私が悪いんだよ
永遠が忙しいのに我儘言ったから」


「千色の我儘ぐらいなんともねぇ
それを許せないほど小さい男じゃねぇ
ただ・・・俺の言葉が足りないから
不安にさせてしまったよな」


堂々巡りの甘い永遠に
やっぱり触れたくて


そんな私に気付いてくれる永遠は


「ほら」って両手を広げてくれた


『マジやべぇ』を忘れた訳じゃないのに
タガが外れた私はダイブするみたいに永遠に飛びついた


抱きついた私の頭をずっと撫でてくれる大きな手に


ゆっくり心が解れていく


「なぁ、千色」


「ん?・・・っ」


見上げた先に近すぎる永遠の顔が薄く微笑んだ気が・・・した


頬に触れる永遠の大きな手は温かい

それよりも重なった唇はもっと熱を帯びていて


その熱に溶かされるように


重なる口付けが


深く・・・濃く・・・浸食を始めた