「あるよ」




怒りに任せて叫ぶ永遠の声は
悲しみを孕んで泣いているようだった


それを救ってあげたくて

背後から声をかけた私を

ベンチに座っていた永遠はゆっくりと振り返った




「・・・千色」



「永遠が辛いなら一緒に罪を背負う
永遠が寂しいなら一緒に逝く
永遠と一緒に居られるのなら
陽なんて当たらなくても良い
永遠と一緒なら・・・
永遠と一緒に・・・
私のこれからの人生
永遠だけで・・・いいの」



あれほど流して枯れたはずなのに

永遠の顔を見ただけで溢れてきた涙は

もっとよく顔を見たいのに視界を揺らして邪魔をする


ベンチから立ち上がった永遠が近づいて

手を伸ばすより先に
その腕の中に囚われた


「千色、ごめんな」


「ううん、私こそごめんね」


永遠の胸にピッタリ付けた耳から
振動と共に大好きな低い声が聞こえる



もしかして・・・と少しでも疑った自分を許して欲しくて
隙間を埋めるように抱きつく



「心配しなくたって
俺には千色だけだ」


「うん」


「千色以外要らねぇ」


「うん」


「頭ん中、千色で埋まってるんだ」


「フフ」


「信じて貰えてねぇと思ったけど
考えてみりゃ、それもこれも俺の所為だ
だから・・・
不安になんねぇように言葉にするな?」


「ん?」


僅かに緩んだ腕の中から永遠の顔を見上げる


首を傾けた永遠と視線が合うと
永遠は一度微笑んで頭の天辺に口付けを落とした



「千色、俺の気持ちを疑うな
俺のこれからの人生全てお前にくれてやるんだ
だから・・・俺だけを見て
俺を信じろ」