「永遠よぉ、機嫌悪くねぇ?」



バスに乗って早々に亜樹が茶化す

勿論答えるつもりもないと言わんばかりに目蓋を閉じた


「あ、そっかぁ、まるちぃのバス
違うんだったよね」


後部座席がサロンタイプになるこのバス

俺と亜樹と大和、琴ちゃんと優羽

たった五人でそこを占領している

答えるつもりもなかったのに
琴ちゃんのそれは返事を待っていて


「千色は一号車になった」


それだけを目を閉じたまま答えた


「そっかぁ、永遠寂しいね」


俺の不機嫌さを気にかけてくれる琴ちゃんには申し訳ないが

ここに一ノ組の若頭が居ないことにホッとした


俺らが乗る三号車は
静かに乗りたいとNightの面子で固めた

女共のブーイングもあったが
そんなもんどうでも良い

千色さえ乗せられたらそれで良かったのに

乗り物酔いが不安な奴らと先生達を乗せた一号車になると聞いたのは出発前だった


それなら・・・せめて

バスを降りての観光は
少しでも千色との時間を取りたいと思っていたのに


現実は甘くはなくて・・・


何やら忙しく動き回る千色を遠目に見ることしかできなかった


あっという間に過ぎた島時間


願わくば


千色と二人で海を見たかった


なぁ、千色


俺の中は

千色に触れたい

千色の声を聞きたい

千色の笑顔を見たい


女々しくも、千色で埋まっている

俺にとっては千色が全て、他は要らねぇ


猟奇的なまでの愛を見つけたんだ


余所見なんて・・・する訳ねぇ


んなこと言わずとも

千色ならわかってくれてると


千色なら俺を信じてくれてると


思ってたんだ




最後の夜の



あの瞬間まで




side out