「「「いただきやすっ」」」



野太い声がこだまする大食堂
規模は違えど見慣れた風景


隣で

「無理すんなよ」


笑顔を向けてくれる永遠に小さく頷いて箸を取った


「食べながらで良いので
今日の予定をお知らせします」


永遠と私の丁度前に座った大吾は


「午前11時から一ノ組へ挨拶
その後会食になります」


爆弾を落としてきた


「あぁ」
「え?」


納得済みのような返事をした永遠と
驚いて声が上ずった私

対照的な二人が顔を見合わせたところで


「千色ちゃんは一ノ組は初めてか?」


上座の中央から低い声が聞こえた


「あ、はい」


「そうか」


たったそれだけだったのに
お義父さんの“そうか”は少し悲し気に聞こえて

これまでの森谷の色々を思い出して胸が苦しくなった


「・・・すみません」


絞り出した声は震えていて


それに反応した永遠は
ポンと頭の上に手を乗せると


「大丈夫だ、千色」


優しく声をかけてくれた


「もお!永さんったらダメねぇ?
あんな言い方したら千色ちゃんが困ることくらい分からないの?
これだから思慮不足の男はイヤ〜ね〜」


さらに明るくお義父さんをディスる笙子さんによって


「いや、そんなつもりじゃなかった
千色ちゃん、悪かったな」


大勢の前でお義父さんに頭を下げさせるという緊急事態




「あ、いえ、その・・・私こそ
ごめんなさい、お義父ちゃんっ」




「「「「「ブッ」」」」」
「「クッ」」
「「フフ」」




慌てた私の“お義父ちゃん”に
一気に場の雰囲気が和むという辱め