「千色、長かったな」



そう言って永遠はソファに深く座った


同じように背中をソファに預けようとして途中で諦めた


このままだと背中の帯を潰してしまう
そんなことを思った私に気付いたのか


「風呂入ってゴロゴロしようぜ」


永遠はやけに渋いひと言を放った


「・・・ブッ」


「あ゛?」


「ゴロゴロって、クッ」


なんだか可愛いと言いかけて・・・


・・・止めた


なぜなら


「んだ?喧嘩売ってんのか?売ってるよな?
あ〜、そっかそっか、俺の婚約者さんは
一緒に風呂に入りたくて態と俺を焚き付けたんだよな?、ほぉ」


ソファから背中を離して此方を向いた永遠の顔が意地悪に笑っていたから・・・



「・・・へ?」


一緒にお風呂とか、有り得ない

それに

永遠ってこんな緩い話し方したっけ?
この喋りはどちらかと言えば・・・
あっ!大和さんの方!

それよりなにより


「だ、め!だからっ」

ちゃんと阻止せねば!


「あ゛?千色はもう俺のだから
風呂だってトイレだって一緒で良いんだぞ?」


・・・は?


「変態っ」


少し睨んでみたけれど


「男は皆変態だ!」


ニヤニヤと笑う永遠には効いてないようで肩が下がった


そんな私の頭に手を乗せて


「んな顔すんな」
と笑った永遠は


ポケットから携帯を取り出して
なにやら操作し始めた


暫し指を滑らせること1〜2分


「さて!行くぞ」


イキナリ立ち上がった永遠に遅れないように


「着替えっ」


慌てて今朝持って来たトランクから適当に掴んで後を追いかけた


そして・・・


脱衣所で



「「さっきぶり〜」」

「初めてね、一緒に入るの」



笙子さん、未来さん、遥華さんの出迎えを受けた


「・・・・・・え」

何故にこの三人が?
酷く困惑した私に


「永遠から着物とか髪飾りとか外すの手伝って欲しいって連絡きたよ」


赤い唇の遥華さんが種明かしをしてくれた


・・・あ!さっきの!


暫く携帯を触っていた永遠を思い出した


クソーーーーーーっっ

部屋に戻ったらガン無視してやるーーーーーっ


暫し脳内絶叫





「・・・千色ちゃんっ」


「へ?」


我に帰れば


「先入るね〜」


ヒラヒラと手を振る遥華さんと未来さんが見えた

そして
「え?エーーーーーーー!」


大きな鏡越しに目が合ったのは
いつの間にかまとめ髪が外され
肌襦袢姿の私





なんたる失態