顔合わせという名の騒ぎが落ち着くと
永遠の部屋へと戻った


「大吾呼ぶか?」


「うん」


「真相、早く知りたいって顔してる」


クスっと笑った永遠は首を傾けて顔を覗き込んできた


・・・不意打ち

・・・近いっ


「クッ、真っ赤」


顔が近づいただけで赤くなる私もどうかと思うけれど


「さっきなんて抱きついてきたのにな」


揶揄われるなんて酷すぎる


「ゔぅ」


でも唸るしかできなくて


「はいはい、お子ちゃま千色の
ペースに合わせましょーね」


永遠は小馬鹿にしたように笑った

でも・・・その笑顔も
悔しいほどカッコよくて


「ゔぅ」


また唸るしかできなかった


「着物、苦しくないか?」


「うん、大丈夫」


「じゃあこのまま呼ぶな」


「うん」


二人でベッドに腰掛けたまま
手を繋いで大吾を待つ


やがて・・・
ノックと共に現れた大吾は

目の前に座った



「千色お嬢、大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫、フッ」


大丈夫と言い過ぎて
なんだかおかしくなった


「今回の件についてお話します」


そう始めた大吾の話は
森谷の両親の道を外れたこれまでから

千紗の仮病と凱のことにまでおよび

それは

知らなかった話ばかりで

聞けば聞くほど
頭の上に錘を乗せられたみたいに
項垂れた頭を上げることが出来なくなった


「千色お嬢、それでも今回の森谷の取り潰しと破門は異例の処分です

本来なら親への不義理は縁者全て潰されても文句の付けようがありません

表向き森谷組は無くなり組長は破門となりますが
命まで取られる訳じゃない

そりゃ、見知らぬ土地で
暮らすことにはなりますが
それも温情の内

更に、組員達の処遇も
木村の親父は温情をかけてくださった

これは千色お嬢が若頭と婚約したお陰で
本当に異例中の異例なんです」


そう言った大吾の声は震えていた