また泣き出した私は
永遠に抱き留められて

その温もりに縋るように
裾を握った


「千色ちゃん、家族にさよならも言わせてあげられなくてごめんなさいね」


笙子さんの声に顔を上げたけれど
意図が読めなくて瞬きだけを多くする

そんな私に

「今までの功績を鑑みて
森谷には少し離れた土地で堅気として
暮らして貰うことにしている」


お義父さんはその答えをくれた


「森谷の家は木村組預かりとなり
構成員はその希望によって堅気の道も選択させるし
他の傘下預かりも考える」


森谷を支えてくれていた組員さん達が路頭に迷うことなく道を選べることにホッとした


「他に聞きたいことはないかな?」


「・・・東山さんは」


父の側近であった東山さんは

森谷の両親の暴走を近くで見てきた人物

さっき見た拳を握りしめて堪えていた表情が嘘でなければ
相当な思いを強いられてきたはずで

森谷の家が取り潰しになれば
その責任もかかってくるポジションに違いない


「東山は今回の件にも尽力してくれたし
千色ちゃんのこともな」


「え?」


「それは大吾から聞くといい」


「あ・・・はい」


・・・私のこと?
永遠を見上げると

永遠はニッコリ笑って頷いた


・・・え・・・っと


あまりにも沢山の事が頭の中に入り過ぎて
これ以上考えるのは無理


探るより素直に聞こうと諦めた