「キャッ」


着物が着崩れないように
ベッドの上に下ろされると
足元に座った永遠は


「あー良かった」


やっぱり六つ下だったなって思えるような
無防備な顔を見せた


「さっきの、嬉しかった」


「さっきの?」


「親父達に話した千色の覚悟」


「・・・あ、うん」


許婚を解いてくれた組長に
永遠への想いを伝える為に

綺麗な言葉を使うより

頭の中にある言葉を素直に言うことを選んだ


「千色からの逆プロポーズみたいで
凄げぇ嬉しかった」


そう言ってフワリと笑った永遠は
膝立ちして視線を合わせると

啄むようにキスをした


「・・・っ」


「すぐ真っ赤になって」


チュッ


「可愛いのな」


チュッ


「俺以外に見せんなよ」


チュッ


「千色、愛してる」


「・・・・・・んっ」


最後に見えた永遠の瞳は
捕食する前の獣のような熱を孕んでいて

背中がフルリと震えた


それを瞬時に消し去るほどの口付けは

角度を変えながらどんどん深くなり

息が上がって苦しくなり
堪らず永遠の胸を押した


「初心者め」


「・・・だって」


「嘘だ、嬉しいよ
千色の初めてを全部貰うのは」


緩く微笑んだ永遠の言葉が直接的で
瞬く間に頬に熱が集まる


「・・・・・・バカっ」


「バカねぇ?フッ」


そう笑いながら
赤い唇をペロっと舐めた舌から視線が外せない


「何?まだ欲しい?」


「・・・なっ、そんな、んんっ」


訳ないと続く私の声は
永遠の唇に塞がれて

唇から出ることは叶わなかった


そうやって散々永遠に翻弄されて
全身から力の抜けた身体は

永遠に抱き留められたまま


「支度が整いました」


大吾が呼びに来るまで


永遠がどれだけ私のことを好きか
聞かされて

緩みっぱなしの頬が
気持ちも穏やかにさせた