「「「きゃー」」」


悲鳴と同時に拍手が沸き起こった


「・・・え」


ポカンと口を開いた私に


「千色、俺を出し抜きやがって」


真っ赤な顔をした永遠が悔しそうな顔を向けた


「・・・え?」


「千色ちゃん凄〜い」


「千色ちゃん大胆〜」


お姉さん二人から声が掛かると


「良い覚悟だ」


組長までもが拍手に参加してくれていて

歓迎されたんだなって嬉しくなった


「あ、りがとう、ご」


お礼の言葉は
溢れた涙に拐われて

最後まで紡げなかった


「俺も、千色が好きだ」


家族の前で堂々と告白してくれる永遠の
広い腕の中に囚われて

更に大きな拍手に包まれ
なかなか泣き止むことが出来なかった

木村の家族は暖かくて
心が楽になる

そんなことを思う私に


「それでは今夜の内に若頭襲名と
婚約の通達を一ノ組から出して貰います」


後藤さんの声が入ってきた


「あぁ、よろしく頼む」


頭の上から聞こえた永遠の声は少し弾んでいて


「そうと決まれば今夜は祝宴」


組長のひと声で周りが動き始めた


「にしても永遠〜いい加減
千色ちゃんを離しなさいよっ
あたし達の妹になるんだから〜」


「あ゛?」


「あんたが離さないと私達と
千色ちゃんが女子トーク出来ないでしょ」


「あ゛?」


一瞬で不機嫌になった永遠は


「宴会までは離さねぇ」


大声で言い放った


「ちょ、待ちなさいよっ」


「・・・っ」


強引に手を引かれてその場を飛び出すと
永遠の部屋までお姫様抱っこで運ばれた