「颯多、仕事ならなおさらだろ。時間も予約したんだぞ。それまでに片付けて、俺たちを迎えるのが店主のあるべき姿じゃん」

しまった!
修二にとって、武器になるはずの俺の笑顔も、仕事というワードを出したため、通用しなかった。
仕事モードの修二に、論理的思考で勝てるわけない。

「う」
俺は返す言葉が見つからない。
やっぱり理論武装じゃ勝ち目なかった。

「ごめん。お待たせ」

仕事を終えたハルが修二の隣に座った。

俺の向かい側に、示し合わせたように笑顔の二人が並ぶ。

「で、どうだったの?颯多」

修二が結果から聞こうとする。

そんな修二をハルが苦笑してなだめる。

「修二、いきなり結果を、聞くなんて無粋だよ。ちゃんと颯多に話してもらおうよ」

俺は二人のやりとりがなんだかおかしかった。

「結果から言うとね、結果は聞いてないんだ。だから・・・」

まだ話途中なのに、修二が割り込んだ。

「え?それって彼女が何も答えなかったってこと?」

修二の笑顔が消える。

ハルは俺の次の言葉を待っている。