もういいや！
どうせ告白するつもりだったし？

ほんとに俺の気持ち1ミリも気づいてないみたいだし？

もう、後戻りなんてできないし。

和奏さんは、まだじっと目をそらさないで俺を見つめていた。

その瞳は戸惑いの色に染まっている。

腕のあいだに彼女を閉じ込めたまま
俺は腕を伸ばして距離を取った。

「関係ないとか言われても無理です」

和奏さんは黙って俺の言葉を聞いている。

「好きな人がこんな目に合ってるのに、放ってなんておけない」

俺は俯いてつづけた。

きっとさらに驚いてるよね。

こんなこと俺に言われる予定なかったでしょ？

だからかな、今俺泣きそうだよ。

「あ、あの倉科くん？どうしたの？その」

あーあ、困ってるのが手に取るようにわかる。

優しいから、無下にもできないんだよね。

「ごめんね、ほんとに。倉科くんに心配かけるとか、上司失格だね」

・・・・。

「そんなことどうでもいい。そんなことより、何かあったんでしょ？ねぇ、和奏さん」

俺は顔を上げて彼女を見つめた。