「和奏さんですね。呼んできます!」

とうちの女子が張り切って声をかけた。

「ありがとう。でも今日は違うんだ。倉科呼んでくれる?」

姿は見えないけど、椎名さんの声が聞こえた。

間もなく、俺を呼ぶ女子社員の声が部屋に響いた。

「颯多くーん、椎名さんがいらしてるよ」

顔を声の主に向けて、

「わかった。今行く」

と告げて、俺は和奏さんを振り返った。

「頑張ってね!報告楽しみにしてる。行ってらっしゃい」

上司のカオで、にっこり微笑んで、送り出してくれた。

「はい!しっかり勉強してきます。行ってきます」

俺は椎名さんに会釈して、一緒に部屋を出て行った。

椎名さんがにやにやしてる。

きっとロクなコトを言わないだろうからスルーだ。

「おまえ、部署の女の子に『颯多くん』って呼ばれてんだね」

ほらね、的中!

修二とハルと同じ。ほんとにどうでもいいことだ。

「無視するなよ。似合ってるし、可愛いじゃん!」

出た!俺の形容詞はまたしても『可愛い』だ。

だいたい、名前にくん付けされてるだけで、なんで可愛いになるんだか。