「俺ね、またフラれたと勘違いして目の前が真っ暗になったり、その後どうしたらいいかわからなくて、自分を保てる自信がなくて、傷つくのが怖くて、勇気なんか出せなかったけど」

「颯多・・・」

修二の優しい声がつぶやく。

「もう大丈夫。泣きたくなったら、傷ついて壊れちゃったら、修二とハルに会いに行けばいいってわかったから」

「うん」

「俺、甘えてもいいんだよね」

「もちろん!過保護って言われようが、お節介って言われようが、俺はおまえのそばにいる」

「うん、だから俺、怖いものはなくなったんだ」

修二とハルを順番に見て頷いた。

「いつも強気でわがまま王子のくせに、やけにしおらしいじゃん。だいたい、そんな脈なしのところに飛び込まないだろ、颯多は」

ハルなりの褒め言葉だ。

「そうなんだけどね。なんかうまくいかなくてさ」

これは事実だ。
俺は少しおどけて返した。


修二がニヤニヤしながら、ハルを見てる。

視線に気づいたハルが修二の方へ向く。

「ハル、そこはアレだからさ。颯多にとっては初体験なんだって」

は?何だよそれ?
全然わからない・・・

と思っていたら、修二の代名詞だらけのセリフをハルは瞬時に理解したらしい

「あ!そうか、アレね」

とか言って、頷いてる。

何?なんなのアレって?