「シャワー借りた。事後報告でごめんな」

申し訳ないと謝るポーズ。

「もう、そんなんいいよ。好きなだけ使って」

「ありがとう」

着替え終わるとゆっくりとキッチンへ歩いていく。

「颯多、朝飯食べられる?簡単に作ったから、よかったら食って」

「う、うん」

「無理すんなよ?二日酔いの薬ここに置いておくね」

「はい、え?俺」

そんなに顔色悪い?
思わず頬に手を当てた。

「それじゃ、俺そろそろ出るね」

修二の声に我に帰り、玄関まで送りに行く。

「ほんとは颯多とまったりブランチとかしたいんだけど、さ」

「気遣わなくていいよ。遅刻したら、イイ男が台無しだろ」

俺が笑顔で話しかけると、修二も笑顔になる。

「ねぇ、何時ごろ終わるの?時間あったら、昨日のお礼に飯ご馳走する」

「いいよ。無理しないで。戻ってきたら俺が作るから。ハルも呼ぶんだろ」

「ちょ、ちょっと待った!それじゃ意味ないじゃん!ハルは呼ぶけど」

俺は慌てて待ったをかける。
わざとらしく腕時計を見た修二が続ける。

「おっ、もう行かないと。てことで終わったら連絡する」

修二が玄関扉を開ける瞬間、あることを思い出して、声をかけた。

「修二、ありがと」

振り返った修二は、「何が?」と首を傾げた。

可愛い仕草がおかしくて、笑っちゃった。

「なんでもない」

俺は笑顔を返して、見送った。


「行ってらっしゃい」


「うん、行ってきます」

修二はドアを開けて、出て行った。
追いかけるように静かに、パタンとドアが閉まった。