俺が飲み干して空になったグラスを静かに下げながら、少しだけ真剣な表情で言う。

「だいたいさ、そんな怖いカオしてると、可愛い王子顔が台無しだろ」

カッ!っと俺の手は瞬時にテーブルに置いてあったコースターを掴み、ハルに投げつけた。

前言撤回!
やっぱりムカつく!

「凶暴だなあ。」

「誰のせいだよ?ヒトのことからかいやがって!」

「だって、颯多からかうと可愛いんだもん。俺も修二がやめられないのよくわかる」

はぁ?25の成人男子を捕まえて可愛いってなんだよ?

それ、褒め言葉じゃない!
悪口以外の何物でもないんだからな!

ったく、ヒトのことからかって楽しむとか、ほんと、悪趣味なやつ!!

でも、全てぶちまけたら今度何か言われたら、言い返せなくなる。

だから、

「バッカじゃないの?!」

一言で済ませた。

ハルはといえば、肩を震わせて笑ってやがる。

あーあ、やっぱり俺の負け。
戦意喪失だ。


まだハルが笑っているのを横目で睨んでいると、
キィっと扉が開いた。