「おかわり!」

ダンッ!

革製のコースターの上に俺はグラスを勢いよく置いた。

「はいはい、今度はハーブティーにする?それとも緑茶?」

店主が俺にお茶を勧める。

「ハル!いつまで待ったら酒出てくんだよ!ヤケ酒しにきてるのに!」

「酔ったら、ちゃんと話聞けないでしょ、はい、プレミアム緑茶」

ハルは、やれやれと半分呆れ顔で、俺の目の前にプレミアム緑茶とやらを置く。

「たく、なにプレミアム緑茶って?」

ムカついて悪態をついた。

「もうすぐ修二来るから。酒なんて飲ませたら、俺があいつに恨まれちゃうじゃん」

俺の言葉は華麗に、スルー。
腹なんて全然立てないで、飄々と言ってのける。

それがまたムカついて、俺はグラスを一気に空にした。

「もったいないなあ、せっかくの。もっと味わって飲めよ。味わかんなかったろ?」

全然残念がってない。
むしろ笑ってる。
こいつはいつもそうだ。

ムカついてても、こっちが戦意喪失する。

「セリフとカオがあってないよ、ハル」

「そう?」

やっぱり、怒ってるのがバカらしくなってくる。