またしても、息ができなくなりそうだった。

でも俺の体は2回目だからか、この前よりも耐えることができた。

足は動かなかったが、あのときのように気が動転したりはしてない。
ずっと冷静に受け止めてる。

俺はスマホを取り出して、メッセージを送った。

『お疲れさまです。倉科です。
お昼は色々ありがとうございます。

真実にたどり着きました。
和奏さんの相手は、うちの高橋部長でした。

以上、ご報告いたします。』

俺を応援して、援護射撃してくれた椎名さんに感謝の気持ちと真実を送った。

スマホがピコンと音を立てる。
すぐに返信が返ってきた。

早!珍しくもう上がってたのかな?

そう思って何気なく返信を開いて、俺は固まった。

『おまえ、大丈夫か?』

椎名さんからの返信だ。
「了解」とか、「わかった」とか、「そうか」とか、「連絡ありがとう」とか、そんな返信がくるとばかり思っていたのに。
まるでサプライズだ。

一瞬、修二かと思って、俺は思考が停止したのだ。

大丈夫か?

こんなことを俺に言う人間は一人しかいない。
いないはずなのに。

どうして、椎名さんはこんなことを。

それから電話がかかってくるわけでもなく、俺のスマホは静かになった。

少しの間ボーゼンと立ち尽くしていると、頬に水があたった気がした。

まさか、また俺泣いてるのか?

恐る恐る顔を触ったが、涙ではないようだ。

どうやら、水の正体は雨。

空から落ちてきた雨粒だ。

梅雨を告げる雨が俺を包んだ。