ほんの少しの時間、時が止まった気がした。

ふっと唇から熱が消えた。

「倉科くん、可愛い」

和奏さんの声が聞こえた。

え?まさか、愛しい和奏さんまで。
俺に可愛いって?

俺は素直に喜ぶなんてできなくて。

「それ、褒め言葉じゃないですから」

少しだけ、呆れた声を出した。

「それに和奏さんのが可愛いです」

ほんの少しだけ、からかいの色を乗せた。

彼女は本気で戸惑って、照れている。
顔が再び赤くなった。