目が覚めたら、俺と和奏さんのキョリは一ミリも縮んでなくて。
今聞いてきた言葉なんて何にも記憶がなくて。
てか、あのまま向かい合ってお互い固まってる?

俺の大事な指輪は日の目も見ないで、ポケットに眠ってるのか?

考えられる、大いに!
だってほんとに、地に足がついてる感覚がない。

怖くて目が開けられない俺の腕の中で彼女がゆっくりと動いた。

瞬間、背中にふわりと温もりを感じた。

和奏さんが俺の背中に腕を回している?


「もう一度誰かに本気で恋したくなるなんて、ほんとに信じられない」

夢心地に聞こえてくる大好きな声。
やっぱりユメだ。
なんて心地いいんだろう。

俺は目を閉じて、大好きな和奏さんの温もりを感じて、大好きな声を聞いていた。