最高の眺めだった。
やばい!俺泣くかも。

指輪から再び、俺に視線を戻した和奏さんは優しく微笑んで頷いた。


「はい」

ダメだ。
このままだったら、本当に泣く。

泣き顔を見られるのは恥ずかしくて。
俺は彼女の手を引いて、抱き寄せた。

ふわっと髪が上がる。

そして、シャンプーの香りを残して、俺の腕の中におとなしくおさまった。

「倉科くん?」

「どうしたの?」と続きそうに語尾が上がっている。

泣きそうなカオを見られたくなくて、抱き寄せたとは、流石に言えなくて。

俺は彼女の疑問をスルーした。


「夢見てるみたいです」

俺の腕の中に確かに愛しいひとはいるのに、
俺はなんだかフワフワして、現実として受け入れられない。


「わたしも夢みたいなの。ほんとに信じられないの」

え?え?
ちょっと待って?
それはどうゆうこと?

信じられない?って?

またしても、新手の反応に、俺は返す言葉が見つからない。

アタマの中で思考がフル回転して言葉を探す。

でも、適当な言葉すら浮かばない。

もしかしてこれは本当にユメなのか?