「あの日倉科くんに告白されたときは、絶対同情されてると思った。みじめで哀れなアラサー女じゃ見てられないものね。でも、あなたは違うと言った」


そりゃそうでしょ。
だって違うんだから、さ。


「やっぱり信じられなかった。それに、こんなわたしと付き合ったって、いいことなんて1つもないと思ってたから、ことわる理由を探してた」

わかってたけど、改めて本人の口から聞くと、堪える。

やはりそう。
和奏さんは、俺を傷つけずに断る理由を探してたんだ。


「でも、倉科くんが同期の伊波さんからの海の誘いを、わたしに告白したことを理由にして断ったとき、嬉しかったの」


俺のこと好きじゃないのになんで?


俺の疑問はそのまま和奏さんの疑問だった。


「どうしてだろう。そんなはずないのに。って思ってたら、椎名がわたしの心に土足であがりこんできて、看破したの」