「わたし、倉科くんと付き合うつもりなんて全然なかったの」

やっぱりだ。
悔しいけど、椎名さんの言う通りだった。

理由だって、色々ある。

和奏さんが俺と付き合わない理由。

それは俺が和奏さんと付き合えない理由に1つも当てはまらない。

彼女の理由は俺にとっては理由にならない。ということだ。

「恋人に浮気されて、捨てられて、傷ついて、『もう恋愛なんかしない!わたしは仕事に生きる!!』そう決めた途端に、仕事もうまくいかなくなったの」

前に椎名さんから聞いた話だ。
和奏さんは仕事に生きるって決めたって。

でも、結末は聞いてなかったな。

・・・そうだったんですね。

「情けないやら、落ち込むやらで毎日辛かった。でもそんなわたしを支えてくれる人がそばにいたから、わたしはどうにか頑張れたの」


それがあの人なのか。