「今言いたくないってことは、時が来たら答えてくれるんですよね。だから俺、待ちます」

和奏さんは無言で俺を見ている。

「この前は限界なんて弱音吐いちゃいましたけど、もう大丈夫なんで。ちゃんと待てます」

「ちゃんとって。どうしてそんな」

これはこの前と同じ展開。

もう対策はできてる。

聞かなくてOKだ。

「和奏さん、俺だって『絶対』なんてないことくらいわかってます。でもね、この気持ちは『絶対』にしたいんです。俺が和奏さんに見せたいんです。絶対が存在する可能性があること。だから待ちます」

俺は最後彼女に静かに笑顔を向けた。

「倉科くん」

「お時間ありがとうございます。それじゃ、俺上がりますね。お先に失礼します」


まとめておいた荷物を持って、入り口に向かった。

「あ、和奏さんもあまり無理しないでください。明日朝俺、手伝えますから!じゃあ、おつかれさまです。気をつけて」


振り返っていつもの感じで挨拶した。

「あ、ありがとう。うん、おつかれさま」

和奏さんは、まだ少し動揺しているようだったけど、俺にいつも通りの言葉を返した。