和奏さんは俺の声に顔を上げ、キョトンとしていたが、やがて、少し笑いの含んだ声が返ってきた。

「どうしたの?そんなに焦って。ごはんは無理だけど15分休憩くらいなら、全然大丈夫よ」


「ほんとですか?!じゃあ俺、コーヒー入れてきます!」

俺は小さくガッツポーズをして、給湯室へ走った。


「お待たせしました。はい、どうぞ」

仕事している和奏さんのデスクにマグカップを置いた。

なんだか久しぶりの距離間だった。

こんなに近くにいるのは、いつ以来だろう。


「ありがとう」

「いえ!こちらこそ、ありがとうございます」


忙しいのに、時間をつくってくれたことにお礼を言って、俺は席に戻り、マグカップに口をつけた。


「さっきはすみませんでした!」

とにかく、さっきのことを謝りたくて、俺は頭を下げた。

和奏さんは俺の行動が予想外だったらしく、俺に向かって慌てて手を振り、否定した。

「ちょっと、やめてよ。わたしこそ、取り乱しちゃってごめんなさい。もう平気だと思ってたんだけど。カラダがゆうこと聞かなくて」

少しバツ悪そうに言いながら俯いた。

「あの、ひとつだけ答えてほしい質問があるんですけど、質問してもいいですか?」