ポタリと、俺の目から雫が落ちた。

俯いた俺の肩を掴んでいた椎名さんの力が緩んだ。

「なんだ、よかった」

よかった?何が?
俺が振られたのが?

椎名さんの発した言葉の意味が理解できずに顔を上げた。

今度は心底ホッとしたような、笑顔があった。

「椎名さんは俺を応援してくれてるんだと思ってました」

なんかムカついて、フイとそっぽを向いた。

「もちろん、応援してるよ。全身全霊で」

「はあ?どこが?俺がフられたのに、今、心の底から、『よかった』って言ったじゃん!それのどこが応援なんだよ!?やっぱりあんたは面白がってるだけなんだ」

俺が言い終わると、椎名さんは大げさにため息をついた。


その仕草も手伝って俺は、彼が職場の先輩であることもすっかり忘れて、やさぐれた。