だん!
俺は和奏さんのデスクに手をついた。

「そんなに俺の気持ちは迷惑ですか!?」

「え?」

和奏さんは驚いて反射的に俺を見た。

「倉科くん?何が・・・」

「和奏さん、俺と付き合う気なんかないんでしょ」

あーあ、言ってて悲しくなってきた。

和奏さんの肩がビクッと揺れたのが、俺の目に、はっきりと映った。

「それは」

「何も言わなくていいです。俺には効きませんから」

今度は俺を見つめる瞳が揺れた。

「椎名さんから聞いたんです。いつでも周りばっかり気にして、ヒトのことばっか考えて、自分の気持ちを素直に行動に移さない。それが宮原和奏だって」

「椎名から」

「だから、あんなこと言って俺の思考回路をぐちゃぐちゃにしても、もう無駄です」


「・・・・」

きっと予想もしなかったのだろう。
俺の言葉を聞いて、和奏さんは固まっていた。

「だいたい、この前も言ったけど、なんで、俺がほかの人を好きになることになってんの?そんなこと絶対ないのに!俺の目に女として映るのはあんただけだって言ったじゃん!どうして伝わらない・・・」

勢いで喋ってた俺はどうやら和奏さんの地雷を踏んだらしい。

今まで見たことのない鋭い眼が俺をにらんでいた。