「よし!わかった!」

椎名さんは俺の両肩に手をかけて、俯いた。

そして、思いっきり力を込めた。

念?そういうの?

「自分の気持ちに従え、疑わないで前を向け」

「へ?」

「これが俺のチカラだから。それだけだから。おまえに分けられるのもこれだけだ」

「まぁ、俺は自分を疑う余地も振り返るなんて考えもなかったけどな」

椎名さんはどこか嬉しそうに宙を見つめた。

「もうブレません!何も始まってないのに、諦める必要ないですもんね!
俺は俺の気持ちを最優先に考えます。どんなに相手にブレーキかけられても、止まりません」

俺は椎名さんの方を向いて、ニコっと笑ってみせた。
そして、

「ありがとうございました!」

アタマを下げた。

「どういたしまして笑」

椎名さんのセリフには、笑マークがついているように感じた。

「がんばれよ!あいつの心動かせるのはお前だって俺は信じてるから」

〝信じてる〟彼のその言葉はどんな言葉よりも俺にチカラと勇気をくれた。

俺は急いで自分の席に戻った。