「椎名さん!俺今初めて恋してるんです。こんな気持ち初めてなんです。だからぜったい諦めません!でも、怖いです。思考が停止するかもしれない爆弾投げられる可能性もあるし」

俺の言葉に椎名さんは少しだけ驚いたようだった。

爆弾って言葉は言い過ぎだったかなとも思ったけど。でも俺は彼女の発言に免疫がなさすぎるのか、簡単にネジが飛ばされてしまうから。

「だから、椎名さんの魔力分けてください」

「俺のまりょく?」

今度は間違いなく驚いている。

「『世界がひっくり返るチカラ』です」

俺の言葉に椎名さんは、照れくさそうに明後日の方を向いた。

「あれは、魔力とかそんなんじゃなくて、よく考えるとただの偶然?ていうか」

「偶然は必然であり運命です」

どこかで見かけたセリフだ。

「言うじゃん!俺のチカラなんてなくても、おまえは俺と違って十分勝算あるよ。あとひと押しなんだから」

とか言ってこのヒトは、

「そう言って、なかった勝算を手に入れたくせに」

俺が口を尖らせると、椎名さんは、当時を思い出したのか、なんだかにやけて見えた。

俺もこんなふうに、思い出せる恋にしたい。