「じゃあ、わたしのこと、好きじゃなくなったら、ちゃんと言ってくれる?」

は?何それ?
そんなセリフは想定外だ。
可能性0パーセントだし。

でも、彼女は真剣なカオで俺に言った。

「和奏さん?」

疑問符をつけて、瞳を覗き込んだ。

「知らない女性(ヒト)から、電話がかかってきて、『もうわたしの彼に近づかないで。あなたは用済みなんだから』って。わたし、何も知らなかったの。彼が浮気してること。そうゆうのはもう嫌だかっ」

ストップ!
何言ってんの?ちょっと待ってよ!

和奏さんの真実はいつでも俺を動揺させるには十分すぎる。

思わず、手で彼女の口を塞いでいた。

すーっと、彼女の瞳から涙がこぼれた。

「もういいです!何も言わなくて!」

さっきまで余裕があった。
用意してるセリフもあった。
驚く和奏さんをリードして、喜びの驚きに変えるつもりだったのに!

でも今は、何も浮かばない。
ただ、これ以上彼女の言葉を聞きたくない。

それだけしか・・・。

何かに気づいたようにハッとして、何も言わないで固まってる俺の手をゆっくりと外して、和奏さんは小さな声で言った。

「ごめんなさい。素直じゃないし可愛くないね。
それに倉科くんに失礼だよね」

うまい返しの言葉が見つからない。

何を言ったら、あなたを安心させてあげられる?