「二人の声が聞こえてきて、なんか話聞いてたら、話しかけづらくて、立ち聞きしてました。すみません!」

俺はまず、立ち聞きしてたことを頭を下げて、二人に謝った。

二人は何も言わずに俺を見つめていたが、和奏さんが口を開いた。

「いつから?聞いてたの?」

俺は和奏さんの質問に正直に答えた。

「椎名さんの『それってもう、好きってことじゃねえの』ってとこからです」

和奏さんの顔がみるみる赤く染まっていく。

椎名さんはポーカーフェイスか、特に表情は読み取れなかった。

「和奏さん!俺は過去なんか気にしません。今から先だけでいいんです!」

「・・・・」

和奏さんは何も言ってくれない。

「俺にだって消したい過去くらいあります。でも消せない。だからって縛られる必要なんかないでしょ?」

俺は椎名さんを見た。
そうですよね! そう思いを込めて。

椎名さんが言ってくれた。


「その通りだ。言いたいことがあるなら言えよ」

今度は和奏さんに向けて。

「な、何よ、二人して!わたしは自信ないの!浮気されるたびに自分を責めてきた。今好きな倉科くんだって同じことになるかもしれない。そしたらまたわたしは逃げちゃう!きっと・・・」