え?選択肢を出せなかったって。
俺と同じ・・・?

「だから、選べるなら好きな方選べよ。優等生でいられるなら、そうすればいい。俺にはできないだけだ」

同じだ。
椎名さんは俺と同じ思いをしてる。
自分とは違うからって言ったけど、それは・・・。
だから、あのときあんなことを言ったのか。

和奏さんは俯いたまま、動きが止まった。
声がまったく聞こえない。

椎名さんは和奏さんを見つめている。

今、和奏さんが何を考えてるのかなんて、俺には到底わからない。

でも、俺は椎名さんと一緒だ。
選択肢を出すことができない。

「宮原、あいつはさ、おまえのこと知った上で、告白してきたんだろ。そこをどうこう言われても過去は変えられないし、あいつが辛いだけだろ」

そこで和奏さんは顔を上げて椎名さんを見た。

「過去を変えたいのは、おまえより、あいつだと思うよ」

「なんで、あんたにわかるのよ」

少しだけ拗ねたように和奏さんが椎名さんに聞く。

「少なくともおまえよりはわかる。俺の方がずっとあいつに近いからな」

「全然違うじゃない」

「俺が変えたかったんだよ。誰より彼女の過去を」

「椎名、あんたそんなこと思ってたの・・・」

どうしてこの人には、わかってしまうのだろうと思っていた。

知り合って間もないのに、どうして「修二と同じことを言うんだろう」と。

今わかった。
残念だけど、和奏さん、椎名さんの言う通りです。
和奏さんより、椎名さんはずっと俺に近い。

可能性ゼロを追いかけてしまう答えを知ってる。