「入らないんですか?」

我が企画部のドアはもうそこだ。

「わたし資料室行かなくちゃ」

それはウソでしょ。
その資料、資料室以外どこから持ってきたんですか?

目も合わせず、急いで俺の横をすり抜ける。

パタパタと小走りの後ろ姿を見つめながら気づいた。

あれ?俺今、和奏さんに避けられた?

さっきのを聞いてたから?
いや、別に避けられるようなことを、言った覚えはない。

はずだよな。

もう姿の消えた廊下を見つめて、俺は自問自答した。