「何に焦ってるの?丹後君の方が訳わかんないじゃない。」
「いや、なんでもないんですけど、そろそろ兄貴が帰ってくる時間だな〜、なんて。あっ、久しぶりに兄貴に会います?」

「うーん、遠慮しとくわ。
多分優衣君、私に会いたくないと思うし…。なんで嫌われちゃったんだろ。こないだもね、挨拶したんだけど、無視されちゃって。でも優衣君は理由もなく無視する人じゃないから、私がなんかしちゃったのかな。」

落ち込む香恋を見て、困り顔でため息を吐く丹後。
「いや、それについては本当に申し訳ないと思ってます。けど兄貴も忙しくてさ、全然休めてないんだ。だから、無視したのもわざとじゃないよ。」
「まあ、そうだよね…。優衣君、またなんか賞もらったって聞いた。優衣君が出てるCMも見たし。今度、私の好きな本の主人公役演じるらしい。最高!」
と、笑いながら下を向く。


丹後はそれを見て、不服そうに天を仰いだ。