丹後は満面の笑みで振り返った。
「そんな、かわいこぶっても駄目っすよ。もうこうなったら内容にも口を出させてもらいますから。
そもそも、年頃の女の子が『喪女』とか『男の亡者』とか訳のわからんこと言ったらダメですよ。それに、凡人以上の人が自分を凡人未満なんて言ったら、本物の凡人未満の方々に刺されます。」

途端に香恋の顔が真っ青になる。
「えっ、それ本当？でっ、でも、私本当に何もできないじゃない。それは丹後君だって知っているはずよ。才能があったら、もっと沢山の人に愛されるはずだもの。」
と、目に涙を浮かべる香恋。

「ど、どうしたんですか。嘘です、嘘です。それだけのことで刺されたりしませんて。それより、僕もう帰んなきゃ。」
目を泳がせながらそう話す丹後の肌には、何故か冷や汗が流れている。