室内ははじめ真っ暗だったが、リディアンちゃんが窓際やテーブルに設置された蝋燭に持ってきた火を灯していき、漸く中の様子が見えてきた。

 部屋の中央には花が飾られたテーブル、奥はキッチンになっているようで暖炉らしきものが確認できた。その手前には上階への階段。

 ふと視線を横にやると、壁際の棚の上に何やら小さな置き物がずらりと並んでいることに気が付いた。よくよく見ればそれはどれも人形や動物のかたちをしていて、布製だったり木製だったりと材料は様々だがまるで観光地のお土産屋さんで売られている民芸品のようだと思った。

「寝室は2階ね。セリーンさんは私と一緒の部屋でいい?」
「あぁ、構わないが」

 セリーンが答えると次にリディアンちゃんは私とラグの方を見た。

「で、貴方たちは隣の兄貴の部屋を使ってくれる?」 
「あ、はい」

 そう返事をしてからハタと気付く。

「え!?」