(言っちゃって平気なの!?)

 ハラハラしながらグラスを両手で持って口元を隠していると、

「それは災難でしたね」

カウンターの方から主人が驚いたように声を上げた。

「最近はこの辺りにも良く出ると聞いてはいますが」
「しかしまぁ、こうして命拾いできたからな。私たちは運が良かったのだろう」

 セリーンがそう上手く返していると、リディアンちゃんが口を開いた。

「あなたたち、今夜うちに来る?」
「え?」

 思わず素の声が出てしまっていた。内心慌てるが彼女は気にする様子なく続ける。

「さっきのお客も言ってたけど、この町には宿もないしさ。うち空いてる部屋があるから、どう?」

 笑顔で首を傾げた彼女に私たちは顔を見合わせた。

「いや、とても有難いが。いいのか?」

 セリーンが訊くとリディアンちゃんはにっこりと笑った。

「勿論。私はリディアン。よろしくね」

 その笑顔はやっぱりとびきり可愛かった。