せめて見た目だけでもセリーンのように強そうだったら。そう思いながらもう一度グリスノートに視線をやって、ピンと来た。

「そうだ。私変装する!」
「はぁ?」

 私の思い付きにラグが素っ頓狂な声を上げた。

「男装するよ! そうすれば少しは危険減るかも!」
「お前、何言って」
「ふむ、それは妙案かもしれんな」

 セリーンが同意してくれて嬉しくなる。
 だがラグは心底呆れたような溜息を吐いた。

「あのなぁ、変装ったってどうやって」
「服ならこの海賊のものを拝借すればいい」

 セリーンが早速棚の引き出しを開け派手な色の服を引っ張り出していた。

「何やら色々あるぞ。変装に使えそうな小物が」
「ほんと!?」

 歓声を上げた丁度そのときだった。
 ドンドンっと乱暴に扉が叩かれ、同時に複数の男たちの怒声が聞こえてきた。