「退いてろ」
「え」

 そうして軽く肩を押されたかと思うとラグは扉の前に立ちその長い脚を振り上げた。
 ドカッ! っと凄まじい音とともに扉は枠から外れ向こう側に倒れていく。
 しかしそこには案の定見張りの男がいた。

(まずい!)

 突然のことに驚いたのだろう目を丸くしてラグを見た大柄の男はそのままあんぐりと口を開けた。

「おめぇは――ぅぐっ!」

 だが大声を上げる前にラグの拳がその腹に入り男は蹲るようにして倒れこんでしまった。
 ラグは男の腰からナイフを素早く抜き取るとその刃を見た。

「使えそうだな。行くぞ」
「う、うん」

 相変わらず強いなぁと思いながら私は頷いた。