ぴたりとその手の動きが止まって、視線が再びこちらに戻ってくる。

「へぇ?」
「ブゥ戻れ!!」

 ラグがもう一度強く怒鳴ると漸くブゥはしょんぼりとこちらへ戻ってきてラグの頭に留まった。

「見たことのねぇ鳥だな。どこに隠れてやがったんだ」

 モンスターだとはバレていないようで一先ずほっとする。

「まぁいい、今度グレイスに近づいたら容赦しねぇからな。――で、どこで聴いたんだ。セイレーンの歌声を」
「えっと、」
「それを聞いてどうする」

 私の言葉を遮って訊ねたのはセリーンだ。どう答えるのが一番良いか決めかねていたので正直助かった。
 グリスノートは面倒そうにセリーンに視線を移し、それでも答えてくれた。

「……探してんだよ。セイレーンの秘境ってやつを」
「!」

 ――セイレーンの秘境。それには聞き覚えがあった。

(確か、前にセリーンから聞いた……)